卵ほどの光を朝と意識して 坑口より来る人車をば待つ 柳原落盤より危く吾を救いたる同僚と 坑口の霜踏みて出づ 山田
双手もて顔おほい泣く主婦のあり 勧告書の束燃え上がるとき 蓮尾
これからは何を頼りに生きてゆくか 離職者思う寒きこの朝 中尾
団結慰問品のくじより引き当てて 百三十三番は米にて四合 木村
座り込む肩に毛布を深々と着せて 主婦等は霜夜を帰る 清本
新労にゆきたる友よ 行き逢えば何故うつむいてすれ違うのか 蓮尾
軒下に夜干しの坑衣 垂れしまま灯りを消して眠りたる家 蓮尾
三人の子もちやもめの選炭婦 一張羅着て手まり子とつく 高椋
老いたるも若きもがうたう労働歌 高らかに流る新春の炭住街 川口
働いて生きるわれらが 働いてそのために死ぬそのために死ぬ 石塚
肉塊となりし一体 判別の定かならねば幾日置かる 木村
首のなき遺体運ばれ 幾日を棺に首の来たる待ちいき 木村
細腕で一家四人を支えつつ働くという 若き未亡人 川口
ガス患者の子をもつ人の顔のしわふえたるを知る デモの中にて 中尾
虫けらのごと殺されし同志の霊慰めてゆかん 鉱山を去る日は 中尾
味噌汁の湯気も カンパという匂い 暁歯が抜けた気持 仲間が一人消え 美風
励ましてくれる黒枠から 笑顔 貞信
白を黒と云えない人が 首になり(指名解雇) 合作
現代の怪談 くびなき千二百(指名解雇) 合作
鉱夫 みな同じ立場であったはず(第二組合) 合作
正しきが損なら悪につくか 君(第二組合) 合作
警官に占領された 保育園(警官) 合作
給料でないカンパの金と 子も覚え(オルグ・カンパ) 合作